COMMON CROP / BUCKWHEAT

そば

縄文の遺跡に花粉を残しながら、長く稲の脇役でありつづけた作物。

01 / ARRIVAL

日本へ入ってきた時期と経路

年代の確からしさは、遺跡の出土によるものと、文献に記されたものとで違います。どちらの根拠なのかを区別して記録します。

時期
縄文時代最古の確実な炭化種子は縄文前期のものと推定される。
根拠の種類
考古
経路
伝来の経路を特定できる出典は本調査では確認できず、縄文時代には既に列島にあったと記されるにとどまる。

ソバ研究者・俣野敏子の著書『そば学大全』の抜粋記事によれば、縄文時代にソバが日本へ渡来していたことは確実とされる。確実な炭化種子のうち最も古いものは北海道渡島のハマナス遺跡のもので、縄文時代の前期と推定されると記される。縄文遺跡から炭化種実が出る例は少ない一方、花粉は亀ヶ岡遺跡・加曽利湿原・深泥ヶ池・板付遺跡など多くの縄文期の遺跡から検出されている。ただし当時どのように栽培されていたかは分かっていないとされ、弥生時代に新しく渡来したものが現代のソバの元祖になった可能性にも同記事は触れている。

  • ハマナス遺跡(北海道・渡島)確実なソバの炭化種子のうち年代が最も古く、縄文時代前期と推定されると記される。
  • 亀ヶ岡遺跡・加曽利湿原・深泥ヶ池・板付遺跡ほか炭化種実ではなく花粉として、多くの縄文期の遺跡からソバが検出されていると記される。

02 / LINEAGE

品種の系譜

本調査で公的機関の一次資料から確認できたのは、長野県農業試験場が職務育成品種として品種登録している3品種にとどまる。信州の代表品種とされる「信濃1号」や北海道の「キタワセソバ」については、育成機関の公開ページで育成年・育成経緯を確認できなかったため、ここには載せていない。近代以降の系譜としては断片的で、在来から近代育種への連なりは未確認の部分が大きい。

系統どうしのつながりは、公開情報から確認できていません。ここでは並列に記録します。

  1. 2010

    タチアカネ

    長野県農業試験場の職務育成品種。全国で栽培でき、自家増殖も可能とされる。育成経緯・交配親は本調査では確認していない。

    2010年5月10日 品種登録(登録番号19524)

  2. 2021

    長野S11号(信州ひすいそば)

    長野県農業試験場の職務育成品種。自家増殖は不可で、利用には信州ひすいそば振興協議会への加入が必要とされる。品種名に地域ブランドが結び付けられた例にあたる。

    2021年12月13日 品種登録(登録番号28774)

  3. 2023

    しなの清流

    長野県農業試験場の職務育成品種で、3品種のうち最も新しい。全国で栽培でき、自家増殖も可能とされる。

    2023年5月18日 品種登録(登録番号31631)

03 / NOTES

覚え書き

統計上の定義や用途の区分など、数字を読むときに前提になる事柄を残します。

自家増殖できる品種とできない品種

長野県農業試験場の職務育成品種一覧では、そばの品種ごとに自家増殖の可否が別々に示されている。「タチアカネ」と「しなの清流」は自家増殖が可能とされる一方、「長野S11号(信州ひすいそば)」は自家増殖が不可で、利用には信州ひすいそば振興協議会への加入が必要とされる。同じ県の育成品種でも、農家が翌年の種子を自分で採れるかどうかは品種ごとに違う。

証拠の非対称 — 種子より花粉のほうが多く見つかる

縄文遺跡からソバの炭化種実が発掘された事例は割合少ないと記される一方、花粉のほうは多くの縄文期の遺跡から検出されている。つまり「ソバがそこにあった」ことは花粉から言えても、「栽培していた」「食べていた」ことは同じ強さでは言えない。渡来していたことは確実とされながら、当時どう栽培されていたかは分からないとされるのは、この証拠の偏りによる。

主役のイネに対する「脇役」という位置

日本の歴史上「主役」だったイネに対し、ソバは「脇役」だったと同記事は述べる。そのうえで、ある事情から年貢の対象にもなり、存在感を増していったと記される。作物の位置づけが、食味や収量ではなく税と土地の制度の側から決まっていく過程にあたる。

04 / EXPLORE

つづきを、たどる。

この作物の収穫量の推移は統計の索引に、土地に根ざした品種は在来の台帳にあります。