ブリ
1990年代以降増加し、平成26(2014)年に約13万tで過去最高。近年は9万t程度で、北海道や太平洋北部・中部での漁獲が増えている。
FISHERIES / CURRENT OVERVIEW
生産量、生産額、担い手、魚介類消費、そして海そのもの。原典の数字と定義を結び、日本の水産業で起きている変化と、10年後の見通しをたどります。
01 / OVERVIEW
水揚げの量だけでは見えない、生産額、担い手、食べる量まで。まず結論を読み、次に現在の数字、 そして10年後の見通しと、海の側で起きている変化へ進みます。
01 / 生産量
日本の漁業・養殖業生産量は1984年の1,282万tをピークに減少し、2023年は383万tでした。 うち海面漁業は293万t、海面養殖業は85万tです。漁獲だけでなく、養殖を含む国内生産全体の変化として読みます。
漁業・養殖業生産量
実線が実績、破線が延長した参考値(万t)
農林水産省「海面漁業生産統計調査 長期累年」表1 漁業・養殖業部門別累年統計(生産量)
漁業と養殖業、海面と内水面を合わせた国内生産量です。海面漁業だけを扱う統計分類の索引とは対象範囲が異なります。
本サイトでの加工原典のt単位を万t(小数第1位)に換算。平成14年以前は原典の単位が千tのため、単位が切り替わる2003年をまたぐ比較には使っていない。
02 / 生産額
2023年の生産量は前年から9万t減りましたが、生産額は852億円増えて1兆6,853億円となりました。 量の減少と金額の増加は同時に起きています。価格の変化を、生産の回復と取り違えないことが必要です。 この指標だけは、10年後の数字を置いていません。
漁業・養殖業の生産額
この1兆6,853億円は令和5年の当初公表値です。2026年3月17日の公表時に、海面漁業の産出額が9,534億円から9,519億円へ 遡及改定され、生産額は1兆6,838億円になりました。同じ年の同じ対象でも、 いつ公表された値かで数字が動きます。
農林水産省「漁業産出額 長期累年」表1 産出額(総括表)累年統計
生産額は、漁業産出額に種苗の生産額を加えた値です。魚種別生産量に魚種別の産地卸売価格を掛けて推計した名目値で、消費税を含みます。生産量と同じ単位ではないため、別の観測として並べます。
本サイトでの加工原典の百万円を億円に換算。生産額は原典が別列で持つ漁業産出額と種苗生産額を合算した値。
03 / 担い手
2023年の漁業就業者は12万1,389人でした。10年前の18万985人から約6万人減っており、 4つの指標のなかで最も傾きが急です。新規就業者は1,733人で、その約7割は39歳以下。 ただし独立・自営を目指す人は576人にとどまります。
漁業就業者数(2013〜2023年)
折れ線には性質の違う値が混じっています。全数調査は5年ごとの漁業センサス (2013年・2018年・2023年)だけで、その間の年は漁業構造動態調査による標本推定です。 10年後の計算には、全数どうしの2013年と2023年だけを使いました。
農林水産省「2023年漁業センサス 総括編」累年統計 漁業就業者数
漁業就業者は、満15歳以上で過去1年間に漁業の海上作業へ30日以上従事した人です。 2008年から、雇われ先が沿海市町村の漁業経営体であれば非沿海市町村に住んでいても含むよう変わったため、2003年以前とは連続しません。 10年後の計算と、折れ線の両端(2013年・2023年)はこの全数調査の値です。
本サイトでの加工原典の値をそのまま表示している(加工なし)。
農林水産省「漁業構造動態調査」累年統計 表6
折れ線の中間年(2014〜2017年、2019〜2022年)はこちらの標本調査による推定値です。 新規就業者数は都道府県調査からの水産庁推計で、年次の統計表が公表されていないため、傾きは計算していません。
本サイトでの加工標本調査による推定値。漁業センサスの結果を補助変量とする比推定で算出され、全国の漁業就業者数の標準誤差率は1.3%。
04 / 魚介類消費
1人1年当たりの食用魚介類消費量は、2001年度の40.2kgをピークに減少し、2023年度は21.4kgでした。 海の生業を考えるとき、生産する側だけでなく、日々の食卓との距離も同じ変化として残します。
1人1年当たりの食用魚介類消費量
2019年度に23.6kgから25.2kgへ戻っていますが、これは調査方法の変更ではありません。 魚種構成が変わって歩留りが53%から56.8%へ上がったためで、系列は連続しています。
実線が実績、破線が延長した参考値(kg)
農林水産省「食料需給表」品目別累年表 魚介類
食料需給表の純食料ベースです。流通に出た可食部の量であり、家庭の購入量や個人の実食量そのものではありません。家庭内の廃棄や食べ残しは差し引かれていません。年度(4月〜翌3月)の値です。
本サイトでの加工原典の「1人当たり供給純食料_1年当たり数量【kg】」列を転記。年度(4月〜翌3月)であり、他の3指標の暦年とは期間がずれる。
05 / 海の変化
ここまでの10年後は、いまの傾きがまっすぐ続くと仮定した計算です。 しかし水産の数字が示すのは人と土地のストックではなく、生物資源の産出であり、 資源がどこにいるかが動きます。海の側で測られている変化を、実測・解析・シナリオに分けて置きます。
日本近海の平均海面水温の平年差(1908〜2025年)
1909年と1942〜1949年は線が切れています。値が0なのではなく、観測がありません。
気象庁「海面水温の長期変化傾向(日本近海)」
平年差は、1991〜2020年の30年平均を平年値とした差です。日本近海の13海域平均で、 解析に使えた資料のある年だけを持っています。
本サイトでの加工気象庁が公開する時系列データ(areaall_SST.txt)と海域別の上昇率データを転記。上昇率は毎年3月の発表で更新される。
親潮の春季南限位置(1980〜2024年)
10年平均の比較北緯37.64度北緯40.25度
約2.6度北緯1度はおよそ111km。冷たい水の南限が、それだけ北へ後退した
親潮は例年1月頃から本州東岸を南下し、4月頃に最も南へ張り出します。 この値が大きいほど、冷たく栄養に富んだ水が南まで来ていないことを意味します。 10年平均は本サイトによる集計で、原典が示している値ではありません。 年ごとの振れが大きく、最も南だった1984年の北緯36.0度と最も北だった2020年の北緯41.5度の差は5.5度あります。
水産庁「令和6年度 水産白書」図表特-1-5 親潮の春季南限位置の変動
春季(4月頃)に親潮が最も南へ張り出したときの南限を、北緯の度で示した値です。 値が大きいほど、冷たく栄養に富んだ水が南まで来ていないことを意味します。
本サイトでの加工白書が公開するCSVを転記。原典は気象庁「親潮の数か月から十年規模の変動」を基に水産庁が作成したもの。10年平均は本サイトによる集計。
海面漁業の減少分の約4割を占める(2003〜2023年)
67.6万t3魚種が20年で失った量。海面漁業全体の減少179.6万tの、およそ38%にあたる
単位は万t。スルメイカは、遠洋底びき網(南方水域)及びいか釣のうち、日本海水域以外で漁獲されたものを含まない。平成23(2011)年は東日本大震災の影響により、岩手県・宮城県・福島県でデータを消失した調査対象があり、その分を含まない。
水産庁「令和6年度 水産白書」図表特-2-2 サンマ・スルメイカ・サケの漁獲量の推移
「海面漁業計」は養殖を含まない漁獲量で、01の総生産量とは対象範囲が異なります。
本サイトでの加工白書が公開するCSVを転記。原典は農林水産省「漁業・養殖業生産統計」。3魚種の減少が全体の減少に占める割合は本サイトによる計算。
令和6年度水産白書が挙げているものです。数値の記載がないものは、値を持たせていません。
1990年代以降増加し、平成26(2014)年に約13万tで過去最高。近年は9万t程度で、北海道や太平洋北部・中部での漁獲が増えている。
日本海・東シナ海系群で、平成11(1999)年以降、日本海での漁獲が増加している。白書に数値の記載はない。
分布域が北へ拡大し、仙台湾を中心に増加傾向がみられる。白書に数値の記載はない。
水温26℃を超えると適応できず、陸奥湾では平成22(2010)年と令和5(2023)年に大量へい死が起きた。
水産庁「令和6年度 水産白書」特集 第2節 海洋環境の変化による水産資源及び水産業への影響
いずれも白書の本文が挙げているもので、本サイトの判断で並べた魚種ではありません。 サワラとタチウオ・フグ類は、白書に分布の変化の記述はあっても数値の記載がないため、値を持たせていません。
本サイトでの加工本文の記述を要約して転記。白書に数値の記載がない魚種には、値を持たせていない。
本サイトが収録している海面漁業生産統計でも、ぶり類の漁獲量は北海道が全国81,404tの約20%を占めて1位でした。2位以下は長崎県11,669t、石川県5,584t、島根県5,516tと西日本が続きます。ただしこれは1年分の値です。「北上した」と言うには過去の同じ統計との比較が要り、 本サイトはまだその年次を収録していません。ここで言えるのは、いま北海道が1位であることまでです。
農林水産省「令和6年漁業・養殖業生産統計」表2-2 大海区都道府県振興局別統計 魚種別漁獲量
上の順位は、本サイトの海面漁業の統計分類が収録している同じ統計から集計したものです。 都道府県の値は漁場ではなく、海面漁業経営体の所在地に計上されます。
本サイトでの加工都道府県行のみを採用し、大海区・振興局行を除外。小計列を除き、原典の統計分類名と掲載値を転記。
ここから先は実測ではありません。排出シナリオごとの計算結果であり、 前提が変われば値も変わります。
20世紀末(1986〜2005年平均)から21世紀末(2081〜2100年平均)にかけての、 日本近海の海面水温の変化。
公表されていない。公表されている将来予測は、いずれも「魚種別 × 排出シナリオ別 × 特定の前提」の条件付きのものだけで、国全体の将来漁獲量を単一の数値で示した公式の予測は確認できなかった。この節の「10年後」を国の予測と読み替えないでください。 (2026-08-06時点で確認)
気象庁「海面水温の将来予測(日本近海)」
上のRCP別の水温上昇は、この予測によります。実測ではなく、 排出シナリオを前提に置いて計算された値です。
本サイトでの加工原典の値をそのまま表示している(加工なし)。
環境省「第3次 気候変動影響評価報告書」
漁獲可能量、サワラ、ホタテガイ、スルメイカの評価はこの報告書によります。 重大性・確信度・緊急性のレベル付けを含む評価であり、確定した将来ではありません。
本サイトでの加工原典の値をそのまま表示している(加工なし)。
06 / EXPLORE
概観の先は、各地の名産・ブランド魚介、海面漁業の統計分類、漁師と魚屋、土地から引く地域索引へ続きます。