LIVESTOCK / NUMBERS, NAMES & PLACES

畜産を、数と名前の両方からたどる。

乳用牛・肉用牛・豚・鶏の産業構造と、地鶏や銘柄豚の土地に根ざした名前。公開統計と地域の記録という二つの入口から、日本の畜産を読みます。

ENTRANCES / NUMBERS & NAMES

畜産には、二つの読み方がある。

統計を主、名前を付録にはしません。数の入口と名前の入口は、同じ畜産を別の原典から読む同格の道です。

名前の先の担い手は、育てる人と、その土地の循環からもたどれます。

01 / OVERVIEW

畜種に共通する変化を、乳用牛から見る。

飼う経営(飼養戸数)が減り、一戸が大きくなる。この変化は肉用牛、豚、採卵鶏にも同じ向きで起きています。 長いグラフの主役には、65年分の系列がそろう乳用牛を代表例として置き、他の畜種は比較値として併記します。 品種の名簿ではなく、公開統計で確かめられる範囲だけを置いています。

01 / 飼養戸数

飼う経営は65年で、
36分の1になった。

乳用牛の飼養戸数は、1960年(昭和35年)の410,400戸から2025年(令和7年)の11,300戸へ。肉用牛は2,031,000戸34,000戸、豚は799,100戸3,130戸2024年)です。畜種を問わず、同じ向きに減り続けています。

現在の数字11,300

乳用牛の飼養戸数(19602025年)

34,000戸肉用牛(2025年)
3,130戸豚(2024年)
1,700戸採卵鶏(2024年)

畜種で最新年が違います。豚・採卵鶏・ブロイラーは2025年が農林業センサス実施年にあたるため調査が休止されており、 最新値は2024年です。1960年と比べると、肉用牛は約60分の1、豚は約255分の1、採卵鶏は約2,258分の1になりました。

出典

農林水産省「畜産統計」長期累年統計表(全国)

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全国の値です。都道府県別の飼養戸数は同じ畜産統計の別の年次(令和8年=2026年2月1日現在)で収録しており、 観測時点が違うため接続していません。

対象期間・確認日・加工の詳細
対象期間
2025年2月1日現在(令和7年まで)
原典の公表
2026年2月27日公開
本サイトの確認
2026-08-06
利用条件
利用規約

本サイトでの加工e-Statの長期累年統計表(全国)から、年次・飼養戸数・飼養頭羽数・1戸当たり飼養頭羽数の列だけを転記。原典が「…」としている年は値を持たせず、線をつながない。

02 / 1戸当たり

減った戸数の分だけ、
一戸は大きくなった。

1960年の乳用牛は1戸当たり2.0頭でした。2025年は114.4頭。 肉用牛は1.2頭から76.3頭、豚は2.4頭から2,810.9頭(2024年)です。同じ期間に、飼う経営は減り、一戸は大きくなりました。

現在の数字114.4

乳用牛の1戸当たり飼養頭数(19602025年)

76.3肉用牛(2025年)
2,810.9豚(2024年)
79.1千羽採卵鶏(2024年)

採卵鶏だけ、系列の始まりが違います。1戸当たり成鶏めす飼養羽数は平成2年以前の単位が「羽」で、平成3年以降の「千羽」と接続できないため、平成3年以降だけを収録。そのため折れ線ではなく、1991年の13.8千羽から2024年の79.1千羽へ、という2点だけを置いています。

出典

農林水産省「畜産統計」長期累年統計表(全国)

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1戸当たり飼養頭羽数は、原典が飼養頭羽数を飼養戸数で割って示している列です。 採卵鶏の1戸当たり成鶏めす飼養羽数の分母には、成鶏めすを飼養していない者も含まれます。

対象期間・確認日・加工の詳細
対象期間
2025年2月1日現在(令和7年まで)
原典の公表
2026年2月27日公開
本サイトの確認
2026-08-06
利用条件
利用規約

本サイトでの加工e-Statの長期累年統計表(全国)から、年次・飼養戸数・飼養頭羽数・1戸当たり飼養頭羽数の列だけを転記。原典が「…」としている年は値を持たせず、線をつながない。

03 / 飼養頭数

頭数は、戸数ほど
減っていない。

乳用牛の飼養頭数は、1960年の823,500頭から2025年の1,293,000頭へ。飼う経営(戸数)が36分の1になった同じ65年で、頭数は1.6倍です。 ただし1985年の2,111,000頭がピークで、 そこからは減っています。

現在の数字129.3万頭

乳用牛の飼養頭数(19602025年)

ピークの61%1985年の2,111,000頭に対する2025年の水準。戸数はこの間に86%減った

2,595,000頭肉用牛(2025年)
8,798,000頭豚(2024年)
170,776千羽採卵鶏(2024年)

単位が畜種で違います。牛と豚は頭、採卵鶏とブロイラーは千羽なので、 並べても足し合わせた「日本の家畜数」にはなりません。

出典

農林水産省「畜産統計」長期累年統計表(全国)

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乳用牛の飼養頭数には、搾乳牛だけでなく乾乳牛・未経産牛・子畜を含みます。 搾っている牛の数ではありません。

対象期間・確認日・加工の詳細
対象期間
2025年2月1日現在(令和7年まで)
原典の公表
2026年2月27日公開
本サイトの確認
2026-08-06
利用条件
利用規約

本サイトでの加工e-Statの長期累年統計表(全国)から、年次・飼養戸数・飼養頭羽数・1戸当たり飼養頭羽数の列だけを転記。原典が「…」としている年は値を持たせず、線をつながない。

04 / 飼料

飼料の国内供給割合は、
TDN換算で26%。

2024年度の総合飼料自給率は、可消化養分総量(TDN)換算で26%。家畜を支える飼料養分の多くを、輸入に依存しています。 ここまでの戸数・頭数が「国内で数えられるもの」だとすれば、この節は その外側にある条件を示しています。

現在の数字26%

総合飼料自給率(2024年度・全国)

74%国内の家畜が食べる可消化養分総量(TDN)のうち、海外から来ている分

総合飼料自給率。粗飼料と濃厚飼料を、可消化養分総量(TDN)換算で合わせた数値です。飼養戸数・頭数が各年2月1日現在の値であるのに対し、これは年度(4月〜翌3月)の値です。 観測の取り方が違うため、同じ年として並べていません。

都道府県別が無い

飼料自給率は全国の1点だけが公表されていて、都道府県別の内訳がありません。 地域ごとに「どれだけ自分の土地の飼料で飼えているか」は、この統計からは分かりません。 令和7年度の値も、食料自給率の公表が例年10月であるため、まだ出ていません。

出典

農林水産省「飼料をめぐる情勢」

原典を開く

粗飼料と濃厚飼料を、可消化養分総量(TDN)換算で合わせた総合飼料自給率です。 粗飼料だけ・濃厚飼料だけの自給率とは別の数字なので、置き換えられません。

対象期間・確認日・加工の詳細
対象期間
2024年度(令和6年度)
原典の公表
2025年11月26日
本サイトの確認
2026-08-06
利用条件
未確認

本サイトでの加工粗飼料と濃厚飼料を合わせた総合飼料自給率の掲載値を転記。

05 / 数字の作られ方

同じ表に並ぶ数字が、
同じ作られ方とは限らない。

乳用牛と肉用牛は令和2年に飼養者への統計調査を廃止し、牛個体識別全国データベース等から集計する加工統計に変わりました。豚・採卵鶏・ブロイラーは標本調査で、原典が標準誤差率を示しています。同じ「飼養頭羽数」でも数字の作られ方が違うため、合算せずに区別して並べます。ここまでの折れ線も、途中で作られ方が変わっています。原典は切り替わる年に旧と新の両方を載せていて、 数え方の違いが値をどれだけ動かすかが読めます。

2019年・乳用牛飼養戸数15,000戸14,900戸

令和2年から、飼養者への調査をやめ、牛個体識別全国データベース等の行政記録情報から集計する加工統計に変わりました。左が従来の方法、右が新しい方法で集計した同じ年の値で、差は100戸。どちらかが誤りなのではなく、数え方が違うだけです。原典はこの1年だけ両方を載せて、 系列がここでつながらないことを示しています。

2019年・肉用牛飼養頭羽数2,503,000頭2,527,000頭

肉用牛も同じ年に加工統計へ変わっています。左が従来の方法、右が新しい方法で集計した同じ年の値で、差は24,000頭。どちらかが誤りなのではなく、数え方が違うだけです。原典はこの1年だけ両方を載せて、 系列がここでつながらないことを示しています。

1997年・採卵鶏1戸当たり22.4千羽25.7千羽

採卵鶏は加工統計ではなく、調査対象の組み替えです。平成10年から成鶏めす1,000羽以上の飼養者だけを調べることにしたため、平成9年を新しい基準で集計し直した値が併記されています。左が従来の方法、右が新しい方法で集計した同じ年の値で、差は3.3千羽。どちらかが誤りなのではなく、数え方が違うだけです。原典はこの1年だけ両方を載せて、 系列がここでつながらないことを示しています。

標本調査の誤差0.8%

の飼養頭数の標準誤差率(2026年2月1日現在・全国)

0.8%
0.8%採卵鶏
1.4%ブロイラー

標準誤差率は、標本から全国を推定するときの誤差の大きさです。 乳用牛と肉用牛にはこの列がありません。誤差が無いのではなく、 令和2年から飼養者への調査をやめて牛個体識別全国データベース等の行政記録から集計しているため、 標本抽出による誤差という概念がそもそも当てはまりません。

休止している年

豚は2005・2010・2015・2020・2025年、採卵鶏は2005・2010・2015・2020・2025年、ブロイラーは2015・2020・2025年。平成17年(2005年)以降、西暦の末尾が0と5の年は農林業センサスの実施年にあたるため、 畜産統計の調査が休止されます。値が0でも秘匿でもなく、その年は数えていません。 折れ線もここで途切れます。

令和7年と令和8年

このページの長期系列は令和7年(2025年2月1日現在)までで、 乳用牛の飼養戸数は11,300戸、飼養頭数は1,293,000頭です。一方、都道府県別の索引が使っているのは 令和8年(2026年2月1日現在)の第1報で、同じ全国の値は10,800戸1,286,000頭です。 どちらかが誤りなのではなく、観測時点と公表が違います。第1報はまだ確定前の年次なので、 長期系列に継ぎ足さず、別の観測として並べています。

公開情報だけでは分からないこと

空欄にせず、分からない理由の側を記録します。以下は本サイトが原典に当たって 「公表されていない」ことまで確認した3件です。

  • 市町村別の飼養戸数・頭数公表が止まっている畜産統計の市町村別データは平成16年から平成18年の3か年分だけが公開されていて、それ以降の年次は公表されていません。集計のもとになっている牛個体識別全国データベースは個体ごとの記録を持っていますが、統計として市町村の粒度で出てくることはありません。 農林水産省「畜産統計」
  • 畜産の銘柄の総数無料の公開情報では分からない銘柄牛・銘柄豚を網羅した名簿は有料の書籍にしかなく、無料で確認できる公的な名簿は地理的表示(GI)の登録産品と、特定JASの地鶏肉が定める在来種にとどまります。日本にいくつ銘柄があるのかは、公開情報だけでは数えられません。 農林水産省「地理的表示(GI)保護制度 登録産品一覧」
  • 豚の地理的表示(GI)登録登録が1件もないGIに登録された畜産物21件の内訳は牛肉13件、鶏肉7件、ナチュラルチーズ1件で、豚肉は1件もありません。制度が畜産のどこに届いていないかが、登録簿そのものから読めます。 農林水産省「地理的表示(GI)保護制度 登録産品一覧」
出典

農林水産省「畜産統計(令和8年2月1日現在)」第1報

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標準誤差率と、令和8年の全国値はこの第1報の掲載値です。 都道府県別の値は、この索引(畜種別の統計区分)から引けます。

対象期間・確認日・加工の詳細
対象期間
2026年2月1日現在
原典の公表
2026年7月28日公表
本サイトの確認
2026-08-06
利用条件
利用規約

本サイトでの加工e-Statで公表された統計表Excelから都道府県行のみを採用し、全国農業地域行と農政局行を除外。飼養戸数と飼養頭羽数の実数列だけを転記し、割合・1戸当たりなどの派生列は取り込んでいない。

出典

農林水産省「畜産統計」長期累年統計表(全国)

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旧・新の併記と、調査を休止した年はこの長期累年統計表の掲載値と注記によります。 ブロイラーだけは平成25年(2013年)からの系列で、65年分がありません。

対象期間・確認日・加工の詳細
対象期間
2025年2月1日現在(令和7年まで)
原典の公表
2026年2月27日公開
本サイトの確認
2026-08-06
利用条件
利用規約

本サイトでの加工e-Statの長期累年統計表(全国)から、年次・飼養戸数・飼養頭羽数・1戸当たり飼養頭羽数の列だけを転記。原典が「…」としている年は値を持たせず、線をつながない。

06 / EXPLORE

畜産を、もっと詳しくたどる。

概観の先は、地鶏・銘柄豚などの名前のある畜産物、畜種別の統計区分、飼う仕事の担い手、土地から引く地域索引へ続きます。