COMMON CROP / CUCUMBER

きゅうり

平安期の黒いぼ、幕末の白いぼ。二度の伝来が今の姿をつくった

01 / ARRIVAL

日本へ入ってきた時期と経路

年代の確からしさは、遺跡の出土によるものと、文献に記されたものとで違います。どちらの根拠なのかを区別して記録します。

時期
平安時代中ごろ10世紀ごろに黒いぼ系が、江戸時代末期に白いぼ系が入ったとされる二度の伝来。
根拠の種類
文献
経路
インド・ヒマラヤ山麓を原産地とし、まず沿海路を経た華南ルートで黒いぼ系が、のちにシルクロードを経た華北ルートで白いぼ系が日本へ入ったとされる。

農畜産業振興機構の解説では、10世紀ごろ・平安時代には伝来したといわれる、と推定形で記される。最初に伝わったのは華南ルートの黒いぼ系品種で、江戸時代末期に華北ルートの白いぼ系が伝わって食用として定着した。全国で広く栽培されるようになったのは江戸時代末期から明治時代とされる。わずかにロシア経由で入ったきゅうりも確認されている、と同解説は記す。

02 / LINEAGE

品種の系譜

日本のきゅうりは、華南型(黒いぼ)と華北型(白いぼ)という性質の異なる二つの品種群が時期をずらして入り、その交雑・交配から各地の在来品種が成立したと見られている。現在は白いぼ系が栽培品種の大半を占め、さらに表面の白い粉(ブルーム)を生じないブルームレスが主流となった。

  1. 平安中期

    黒いぼ系(華南型)

    導入

    原産地から沿海路を経て華南・華中に土着成立した品種群。日本に最初に伝わった系統とされ、主に春きゅうりとして知られる。

    平安時代中ごろ 伝来

    この先 各地の在来きゅうり(毛馬胡瓜・加賀太きゅうり・会津余蒔胡瓜など) へ合流する

  2. 江戸末期

    白いぼ系(華北型)

    導入

    シルクロードを経て華北地方に伝来・定着した品種群。いぼが白く、夏きゅうりとして知られる。現在の栽培品種の大半がこの系統。

    江戸時代末期 伝来

  3. 近世〜近代

    各地の在来きゅうり(毛馬胡瓜・加賀太きゅうり・会津余蒔胡瓜など)

    在来

    黒いぼ系(華南型) × 白いぼ系(華北型)

    日本の多くの在来きゅうりは、華南型・華北型両者の交雑・交配によって成立したと見られている。大阪の毛馬胡瓜、石川の加賀太きゅうり、福島の会津余蒔胡瓜、青森の糠塚きゅうり、山形の勘次郎胡瓜など、太さ・色・いぼの形質が地域ごとに大きく異なる。

    近世〜近代

  4. 1985

    ブルームレスきゅうり

    選抜

    白いぼ系(華北型)

    白いぼきゅうりは外観からブルームきゅうりとブルームレスきゅうりに分けられる。日持ちがよく表面に光沢が出ること、白い粉が農薬と誤解されることから、量販店対応を重視した1985年ごろを境にブルームレスが主流となった。

    1985年ごろから普及

03 / NOTES

覚え書き

統計上の定義や用途の区分など、数字を読むときに前提になる事柄を残します。

統計は冬春と夏秋で分かれる

きゅうりの生産統計は、出回り期によって冬春きゅうり(12〜6月)と夏秋きゅうり(7〜11月)に区分される。同じ「きゅうり」でも、産地・作型・価格の動きはこの二区分で別々に読む必要がある。

04 / EXPLORE

つづきを、たどる。

この作物の収穫量の推移は統計の索引に、土地に根ざした品種は在来の台帳にあります。