在来品種の果形は東西で分かれる
丸なすは秋田・山形・新潟・福島の北日本と京都府に、長なすは東北・中四国・九州にという分布が記録されている。同じ「なす」の産地統計でも、地域によって想定される果形と用途(漬物・田楽・煮物)が違う点は読み替えが必要になる。
- 農畜産業振興機構 月報野菜情報「なす」公開情報の最終確認 2026.08.01
COMMON CROP / EGGPLANT
正倉院文書に名が残る、千二百年以上作られてきた夏の実
01 / ARRIVAL
年代の確からしさは、遺跡の出土によるものと、文献に記されたものとで違います。どちらの根拠なのかを区別して記録します。
日本最古とされる記録は正倉院文書にある天平勝宝2年(750年)の「茄子」の記述で、1000年以上の栽培の歴史をもつと記される。農畜産業振興機構の解説では、8世紀の奈良時代にはすでに栽培されていたとする。奈良時代以前の渡来時期については研究者によって主張が異なる、と国立国会図書館のレファレンス事例に注記されている。
02 / LINEAGE
長い栽培史のなかで、果形の違う在来品種が地域ごとに分かれて残った。丸なすは秋田・山形・新潟・福島と京都に、長なすは東北や中四国・九州に分布する。近代以降は真黒なすのような固定種が主力となり、1960年代に一代雑種(F1)の長卵形品種が登場して全国的な標準となった。
系統どうしのつながりは、公開情報から確認できていません。ここでは並列に記録します。
丸ナスは秋田県・山形県・新潟県・福島県と京都府に分布したと記される。京都の賀茂なす、山形の民田なす・窪田なすが代表例。
近世〜
長ナスは東北や中四国、九州で栽培されていたと記される。島根の津田長、福岡の博多長が代表例。
近世〜
一代雑種が普及する以前の主力品種として言及される固定種。タキイ種苗の記事では「千両」登場前の時代の主力品種と位置づけられている。
近代
一代雑種(F1)として育成された長卵形品種。早生・多収、萎凋病への耐病性、高温乾燥への強さ、荷詰めしやすい形、夏季にも色あせしにくい黒紫色などが育成の狙いとされる。夏秋なすの代表品種として長く使われている。
1964年(昭和39年)育成
03 / NOTES
統計上の定義や用途の区分など、数字を読むときに前提になる事柄を残します。
丸なすは秋田・山形・新潟・福島の北日本と京都府に、長なすは東北・中四国・九州にという分布が記録されている。同じ「なす」の産地統計でも、地域によって想定される果形と用途(漬物・田楽・煮物)が違う点は読み替えが必要になる。
農畜産業振興機構の解説は、栽培が容易で色がよい中長なすが広く栽培されている、と記す。地域在来の丸なす・長なすが縮小し、流通に適した長卵形が全国標準になった流れは、1964年の一代雑種「千両二号」の育成と重なる。
04 / EXPLORE
この作物の収穫量の推移は統計の索引に、土地に根ざした品種は在来の台帳にあります。