統計と行政上の呼称は「かんしょ」
農林水産省の生産統計や品種資料では、サツマイモは「かんしょ(甘藷)」の名で扱われる。品種の普及状況も「かんしょ品種の普及状況」として整理され、ジャガイモを指す「ばれいしょ」と並ぶ区分になっている。
- 農研機構「カンショ種」育成品種一覧公開情報の最終確認 2026.08.01
COMMON CROP / SWEET-POTATO
熱帯アメリカ生まれの芋が、中国から琉球・薩摩を経て全国の救荒作物になった。
01 / ARRIVAL
年代の確からしさは、遺跡の出土によるものと、文献に記されたものとで違います。どちらの根拠なのかを区別して記録します。
農林水産省は、サツマイモがメキシコを中心とする熱帯アメリカで生まれ、1600年ごろに中国から日本へ入ったと記している。琉球(現在の沖縄県)から薩摩(現在の鹿児島県)に伝わったことが、和名「サツマイモ」の由来とされる。沖縄側では1605年に野国総管が福建から甘藷を持ち帰ったと伝わり、種子島や薩摩半島への伝播はその後の17世紀末から18世紀初めに位置づけられている。全国への普及は八代将軍徳川吉宗の頃、蘭学者の青木昆陽によるものと農林水産省は説明している。
02 / LINEAGE
明治期にアメリカから入った七福が、沖縄100号・護国・農林1号という戦前の主要品種の親になっている。戦後は九州農業試験場のコガネセンガンが、青果・焼酎原料・でん粉と用途を選ばない万能品種として広がり、そこからベニアズマ、春こがね、べにはるかへと食味を高める流れが続いた。用途がでん粉原料と青果に大きく分かれるため、系統もその二つに沿って伸びている。
埼玉県の山田いちが、八房の突然変異として見出したと記される。金時の名でも知られる。皮色と形状に優れ食味は優良で、きんとんやあんの材料にも使われるが、耐肥性が小さくつるぼけしやすい土地には向かないとされる。
農林水産省の特性表に育成年次 明治31年と記される
広島県の久保田勇次郎による、アメリカからの導入品種と記される。この図の中でもっとも上流にあたり、沖縄100号・護国・農林1号の親になっている。
農林水産省の特性表に育成年次 明治33年と記される
親七福
沖縄県農事試験場で育成されたと記される。母は七福、父は朝州。生育期間が短く耐肥性が極めて大きいため早掘りに適するが、粘質で食味は良くなくでん粉歩留まりも低いとされる。中国では主力品種と記される。
農林水産省の特性表に育成年次 昭和9年と記される
親七福
三重県農事試験場で育成されたと記される。母は元気、父は七福。地方番号は高系4号。耐干性が強く、小肥栽培でも高い収量性を示すとされる。
農林水産省の特性表に育成年次 昭和12年と記される
親七福
千葉県農事試験場で育成されたと記される。母は元気、父は七福で、護国と同じ組合せにあたる。地方番号は関東2号。青果用とでん粉原料用の兼用種で、やや硬いが食味は良いとされる。
農林水産省の特性表に育成年次 昭和17年と記される
高知県農事試験場で育成されたと記される。母はナンシーホール、父はシャム。早掘りの食味は極めて良いが貯蔵性に乏しいとされ、主要作付地域は全国と記される。
農林水産省の特性表に育成年次 昭和20年と記される
九州農業試験場で育成されたと記される。母は鹿系7-120、父はL-4-5。地方番号は九州55号。青果・焼酎原料・いもかりんとう・でん粉用に使われる万能品種とされ、貯蔵性は劣る。主要作付地域は九州。
農林水産省の特性表に育成年次 昭和41年と記される(農林31号)
親コガネセンガン
農業研究センターで育成されたと記される。母は関東85号、父はコガネセンガン。地方番号は関東91号。皮色と形状に優れ食味は極めて良好とされる一方、黒斑病とネグサレセンチュウに弱いと記される。主要作付地域は関東。
農林水産省の特性表に育成年次 昭和59年と記される(農林36号)
九州農業試験場で育成されたと記される。母は九系708-13、父はS684-6。地方番号は九州90号。高でん粉で貯蔵性が極めて良いとされ、長くでん粉原料用の主力を務めた。
農林水産省の特性表に育成年次 昭和60年と記される(農林38号)
親ベニアズマ
農業研究センターで育成されたと記される。父はベニアズマ。母については、農研機構が「関東103号×ベニアズマ」と記すのに対し、農林水産省の特性表は関東108号と記しており、資料の間で一致していない。ここでは父だけを図の親としている。
農林水産省の特性表に育成年次 平成10年と記される(農林50号)
親春こがね
交配組合せは「九州121号/春こがね」。九州沖縄農業研究センターで育成され、2010年3月11日に品種登録された。旧系統名は九州143号。蒸したいもの糖度が高系14号より高く甘みが強い良食味とされ、九州や関東の産地でブランド化が進んだと記される。
農林水産省の特性表に育成年次 平成19年と記される(農林64号)
低温糊化性でん粉を含む99L04-3を母、高でん粉で多収の九系236を父として2003年に交配されたと記される。旧系統名は九州159号。既存のでん粉原料用品種シロユタカにはない、低温糊化性・耐老化性・高分解性をもつでん粉を含む。
2012年1月に品種登録(かんしょ農林65号)
03 / NOTES
統計上の定義や用途の区分など、数字を読むときに前提になる事柄を残します。
農林水産省の生産統計や品種資料では、サツマイモは「かんしょ(甘藷)」の名で扱われる。品種の普及状況も「かんしょ品種の普及状況」として整理され、ジャガイモを指す「ばれいしょ」と並ぶ区分になっている。
同じサツマイモでも、青果(生食)用、加工食品用、アルコール(焼酎)用、でん粉原料用で求められる形質が異なり、品種はその用途に合わせて育成・栽培される。農研機構の育成品種一覧も、でん粉原料用・焼酎原料用・生食加工用・蒸切干加工用といった用途別に整理されている。
04 / EXPLORE
この作物の収穫量の推移は統計の索引に、土地に根ざした品種は在来の台帳にあります。